認証「健康を守り育てる歯科診療所」

「健康を守り育てる歯科診療所」の認証に関する細則

本会は、会則(22〜23条)にもとづき以下の条件を満たす診療施設を「健康を守り育てる歯科診療所」として認証する。この認証は、「健康を守り育てる歯科診療所」に求められる最低限の条件を満たす医療機関であることを本会が認証するものである。この認証は、個々の診療施設を対象とし、法人格(医療法人)あるいは施設開設者、運営者を認証するものではない。

1.「健康を守り育てる歯科診療所」認証の考え方と目的
健康指向の高い患者は、現在のところ統計的に歯科診療所の全初診来院患者の3割程度と考えられる。実際には、このような患者にさえ適切なメインテナンス管理は行われていない。そこで、そのような患者に対して、患者自身の口腔内の情報を的確に伝え、進んでリスクコントロールを行い、定期的な管理を行うことを「健康を守り育てる歯科診療所」の最低必要条件と考え、そのような実績のある診療所を認証する。この認証は、このような医療を渇望する患者のアクセスの改善を図り、転居などに伴うトランスファーの便宜を図ることを目的としている。また、研究会が、共通のプロトコルに従って大規模の患者データ、定期管理データを集め、健康を守り育てる歯科医療が実際に患者の生涯の利益となっており、また臨床的、経済的に価値の高い医療であることを立証するための研究に資する。
2. 申請条件
別に掲げる診療所ステップアップガイドを参考に、次の4つのカテゴリーにおける目標を一定程度達成したときに認証申請をすることができる。
A. チーム医療の確立を進める
B. 診断情報を分かりやすく患者に提供する
C. 患者固有のリスクについて患者の気づきと行動変容を促す
D. メインテナンスシステムを確立する
目に見える指標としては、定期的メインテナンスに必要な以下の検査と資料の管理がほぼルーティンにできていること。ただし、この基準は画一的ではなく、検査法やその内容は、診療形態の特性に応じて適切な方法を選択するものとする。
  • 規格性のあるデンタルエックス線撮影
  • 規格性のある口腔内写真撮影
  • カリエスリスク検査
  • 歯周組織検査
  • 臨床検査データの管理(研究会共通のプロトコル*1に則っていることが望ましい)
その結果が定期的メインテナンス率として表れていること。
目安として過去3年間の総患者数の約30%に対して定期的メインテナンスを行っていること。
また、患者による評価を客観的に把握するために、患者アンケートを実施すること。

*1 熊谷崇ほか:初診患者のカリエスリスクプロフィール、ヘルスケア歯科誌、1(1)、1999.
*1 熊谷崇ほか:初診患者の歯周病学的プロフィールと喫煙習慣、ヘルスケア歯科誌、1(1)、1999.

3. 認証条件
認証条件を満たしていることが、プレゼンテーションにより明らかで、患者アンケート*2によっても「知らない」を「知っている」に変えていることが確認できるとき、申請診療所は認証を受けることができる。
患者アンケートは、回収率が50%以上あり、内容の如何にかかわらず公表できることを認証条件とする。
認証の評価方法は次のとおりである。

*2 患者さんによる診療所評価アンケート
う蝕と歯周病が容易に予防できる疾患であることを正しく情報提供しているか、それがどの程度患者さんに理解されているかを直接患者さんに尋ねることが第一の目的です。同時に患者さんの診療および診療所に対する評価を尋ねていますが、これらの結果は他の診療所が受けた平均値をベンチマークとすると、客観的な診療所自己評価となり、スタッフおよび院長にとって貴重な経営資料となります。月間平均患者数の半数または200枚を配布し、無記名で事務局あて(料金受取人払い)で郵送する形式で行います。
調査心得:決められた日から患者を選別せず、できるだけ全ての来院患者に調査用紙をお渡しいただきます。なおアンケート用紙、返信封筒および料金受取人払い郵送料、集計費用などを実費として負担していただきます(資料送付時に事務局よりご請求します)。

4. 認証の更新
認証診療所は、1年に1回、診療所概況申告(認証申請時に提出するものと同様の内容)を毎年4月に行い、申請条件を満たしている場合は更新される。
5. 健康を守り育てる歯科診療所リストの公表
認証された診療所は、順次公開する。リストは、研究会のインターネット・ホームページに認証に係わる説明とともに公表する。診療所の情報公開の趣旨を理解するメディアは、この情報を引用・転載することができる。
6. プレゼンテーションの審査基準
プレゼンテーションには、医療機関の沿革、ロケーション、設備、スタッフの簡単な紹介と最低直近3年間の総患者数、メインテナンス患者の検査データと独自の分析、そこに含まれる症例(メインテナンスの効果を評価するに足る口腔内写真、検査値の推移を含む)が提示されなければならない。プレゼンテーションは、前もって公表された審査基準*3に従って採点される。

*3 認証プレゼンテーション審査基準
プレゼンテーションは、以下の審査基準を前提に評価可能な形式に組み立てていただきます(プレゼンテーションの構成もほぼこの順序としてください)。
《採点基準》採点はいずれの項目も(10点満点の場合。20点配点は2倍、5点配点は1/2)
きわめてすぐれている: 10または9点
かなりすぐれている: 8点
合格ラインと思う: 7点
幾分物足りない: 6点
かなり足りない: 5〜2点
発表として審査できない: 1または0点

1) 診療所の診療哲学について、過去・現在どのように変遷してきたか 10点 ここでは「健康を守り育てる歯科医療」と認証申請診療所とのかかわり、変遷などを述べていただき、従来型の歯科医療とヘルスケア研究会が目指すものとの違いを理解しているかなどについても判定したい。
2) 医院のプロフィール紹介は適切か 10点 医院の状態がよくわかるか、その医院の良い点、問題点などがきちんと認識されているか。
3) 診療の流れが十分確立されているか 10点 どのような考え方、治療の進め方がなされているか、リスク診断・バイオフィルムコントロールなどが、適切に組み込まれているか。
4) チーム医療が十分に確立されているか 10点 チームとして機能しているか、長所短所、課題が示されるか。
5) データを通して何を学んできたか 10点 データをとらなかったときと、とってからと学んだことの違いは何か (データの分析ができているか、データの意義を理解しているか)
6) う蝕のリスク管理について 20点 データおよび規格化された資料を通じて、治療の質を評価する。
カリエスフリーを達成した症例やう蝕管理に苦労した症例などを通してその医院のう蝕に対する取り組みと規格化された資料を見たい。
7) 歯周病の治療とリスク管理について 20点 データおよび規格化された資料を通じて、治療の質を評価する。
8) 地域住民・国民に対して、行ってきた、または行おうとしている貢献が評価できるか。 8)、9)
合計5点
これは認証の必要条件ではないが、評価項目である。このような項目に該当する活動があるか、行おうとしているか。
9) ヘルスケア歯科研究会に対して行ってきた、または行おうとしている貢献が評価できるか。
10) 将来にむけての診療所作りの目標は明確であるか 5点 全体を総括して、将来への目標、課題、展望は明らかか。
7. その他
<クレーム>
認証され公開された診療所に関する患者からのクレームは事務局で受け入れる。内規として年3回以上クレームのあった診療所は、審査の上、公開中止を検討する。

(平成15年3月9日施行、平成19年2月25日改正)