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相談

2000年07月29日
投稿者:斎藤健志
タイトル:レーザー光線を用いた虫歯の測定器

読売新聞(’00.7.23)の、「熊谷さんは学校健診で探針を使わず、要観察歯の判定にはレーザー光を用いた最新の測定器を使っている。」という写真入りの記事を拝見致しました。

 この測定器は、レーザー光で何を測定しているのですか?また、どういう結果なら要観察歯と判定できるのですか?この測定器の精度も含めて根拠となる論文がありましたらご紹介いただけますでしょうか?

 よろしくお願い申し上げます。


回答

2001年07月30日
Re:レーザー光線を用いた虫歯の測定器

歯の相談室に寄せられたDIAGNOdentについて回答します。

 DIAGNOdentは波長655nmの半導体レーザーを利用した装置です。KaVo社によれば620〜650nmの色素レーザーを照射した場合に健全歯質とう蝕歯質の間にはその蛍光スペクトルに差が生じ、この差をDIAGNOdentのプローブを介し、検出器を経て分析、数値化してディスプレイに表示するシステムということです。KaVo社並びに開発に携わったDr.Lussi等がその診断のガイドラインを示してはいるものの、臨床の場においては今少し疫学的なデータの積み重ねが必要な段階かと思われます。ご承知のようにカリエスは多因子性の疾患であります、使われる環境等にも大きく影響を受けるものかと思われます。実際に使われて診療室なりのデータを積み重ねることも大切かと思います。

 文献等は、輸入販売元であるところの株式会社城楠歯科商会(本会トッページからリンクできます)にお問い合わせください。参考になるものが得られます。また、本会の運営委員の熊谷崇先生の文献にも記載がありますので参考にしていただければと思います。


相談

再投稿:2000年07月29日
投稿者:斎藤健志
Re:Re:レーザー光線を用いた虫歯の測定器

>歯の相談室に寄せられたDIAGNOdentについて回答します。

>開発に携わったDr.Lussi等がその診断のガイドラインを示してはいるものの、臨床の場においては今少し疫学的なデータの積み重ねが必要な段階かと思われます。

 開発者:Dr.Lussiによれば、

 1.エナメル質の初期齲蝕については、健全歯面と識別できないため、検出能を   比較した報告はない。

 2.DIAGNOdentを用いた方法は、感度(真の陽性の検出比)は良好だか特異度  (真の陰性の検出比)が多少犠牲になる。

 3.そのため、どのような患者に対しても、まず探針の代わりにミラーとスリー   ウェイシリンジを用いて臨床的な診査を行う。

とされています。(歯科医展望6月号より)

 そうなると、スリーウェイシリンジを使用出来ない学校検診では、本当は虫歯ではない(真の陰性)歯を誤って虫歯であると判定する(疑陽性)の比率が高くなるということを警告されていると思います。

 再石灰化が可能な初期のエナメル質齲蝕を探針でつついて穴を開けないようにしようという点は大賛成ですが、学校歯科検診でDIAGNOdentを使用する場合、疑陽性を増やさないようにするためにはどのような基準で判定すればよいのでしょうか?


追加投稿:2000年07月29日
投稿者:斎藤健志
Re:Re:Re:レーザー光線を用いた虫歯の測定器

>歯の相談室に寄せられたDIAGNOdentについて回答します。KaVo社並びに開発に携わったDr.Lussi等がその診断のガイドラインを示してはいるものの、臨床の場においては今少し疫学的なデータの積み重ねが必要な段階かと思われます。

 調べてみましたが、開発者:Dr.Lussiによれば、

 1.エナメル質初期齲蝕(虫歯)と健全歯面とを識別できない。

 2.感度(真の陽性の検出比)は高いが、現時点では視診より特異度(真の陰性   の検出比)が低いのでさらなる研究が必要である。

とされていました。(歯界展望6月号より)

 再石灰化可能な初期のエナメル質虫歯を誤った探針の使用法により、大きな穴にしないように注意するべきだという点には大賛成です。しかし、現時点では、DIAGNOdentを学校歯科検診の現場で使うと虫歯では無い歯(真の陰性)を誤って虫歯がある(疑陽性)と判定する可能性が、視診のみの場合より高くなると感じました。この点は、集団検診の場合は、大きな欠点と思われます。

 新聞報道されましたので、社会的な関心度は高いと思われます。再度お伺いしますが、今回の学校検診では、どのような基準で要観察歯と判定されたのでしょうか?


回答

2001年07月31日
Re:Re:Re:Re:レーザー光線を用いた虫歯の測定器

前回の回答でも申し上げたとおり、ダイアグノデントが用いられる環境が大きな意味を持つことを確認しておかなければなりません。酒田市の熊谷先生は、15年ほど前から、カリエスフリーの永久歯列を守り育てるという目標のもと、学校歯科保健に大きく関わられてきました。児童たちはもとより養護教諭、保護者をすべて巻き込んだ指導、教育、口腔内写真とその所見を添付した一人一人の健康ノート、フッ化物の使用の徹底、さらにはかかりつけ歯科医による口腔内の定期的管理等が、確実に実績を残し、昨年の地区の小学6年生はDMFT指数1.1,カリエスフリー者率50%の数値を残しました。

健診の対象はこの子供たちであるわけで、健診の手順は

  1. 歯科衛生士の視診による口腔内のチェックと記録(充填物、プラークや歯石の付着状態など)
  2. 歯科医師の視診による口腔内のチェックと記録(う蝕の有無、要観察歯、歯肉炎、咬合、歯列不正など)
  3. 要観察歯のダイアグノデントによるチェック(チェックした歯は毎年ダイアグノデントで経過観察)

に沿って行われているとのことです。従って、ダイアグノデントの数値も経時的に記載されているわけです。そういった環境の中でダイアグノデントが生かされる可能性があるのではないかと思われます。いうまでもなく、管理のできていない口腔内でいきなりその数値がいくらを示すと要観察であるといった使われ方はしていないということです。

ちなみに診査の際にはスリーウェイシリンジが使えないため、ロールワッテを使用しているとのことです。

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