本誌p8の図3〜5、p.36〜47に誤りがありました。お詫び申し上げます。
p8の図3〜5は機械操作上のミスから全く別の画像に置き換わっていました。
p.36〜47の症例6は症例5の同一患者の経過症例です。
訂正した2つの論文のpdfを掲載します。
従来、う蝕の進行度の判定には、日本ではC1からC4、海外ではD1からD4などの判定コードが使われている。これらのコードは、う窩ができていない初期う蝕は判定しない。これによりう窩のない者は「カリエスフリー」とされてきた。しかし、メインテナンス通院者では、う蝕の進行は遅く、平滑面の初期う蝕では再石灰化により健常に戻る場合もある。このためカリエスコントロールの評価には初期う蝕を評価判定する基準が必要である。そこで、杉山歯科の通院患者の記録から(1)11歳から15歳まで年に1回以上メインテナンス来院があり、かつ(1)2004年8月1日〜翌年7月31日に15歳でメインテナンス来院がある来院者(該当者36名)を抽出し、歯面の状態を過去の口腔内写真を用いてICDAS IIのコードにより、またエックス線写真を6段階のコード(XR)で評価した。その結果、11〜15歳までの5年間に、充填歯面の合計数は10面から3面に、DMFSは0.56、0.81、0.97、1.03、1.14と漸増、一人平均シーラント歯数は2.17、2.47、3.00、3.81、4.11と推移した。「充填なし」20名のなかで病変を認めなかったのは9名で、病変のあった11名については、プロフェショナルケアの実施とホームケアによって病変の再石灰化を促進する「治療」を行ってきた。本会が掲げている「カリエスフリー」という目標についても、再検討が必要である。
小規模個人立診療所(大西歯科・神戸市)で10年以上継続してメインテナンスを受けている患者を対象に、歯周炎の進行度別に初診から現在までの歯の喪失数と喪失原因について調査した。日本ヘルスケア歯科研究会では日常診療のルーチンワークとしてメインテナンス時の臨床データのコンピュータ記録を推奨しているが、それに用いるデータベース「ウィステリア」(ファイルメーカーproのテンプレート)の検索を利用したものである。検索の結果、40代初診のグループ(70人:男24人、女46人)は平均年齢44.7歳から57.6歳の12.9年間において0.5本の歯を喪失、50代初診のグループは、平均年齢54.4歳から67.0歳の12.6年間において1.2本の歯を喪失した。前者は、比較のため参照した同年齢の初診患者の残存歯数の差に比較して1/2の歯の喪失、後者は1/3の歯の喪失にとどまった。両グループ共にう蝕関連による抜歯が多かった。
定期管理を続けていると、経過観察中の初期う蝕が再石灰化することや反対に脱灰が進行してしまうことを経験する。これは観察中の連続的な変化であるため判断が難しい。長い時間経過における変化を踏まえてリスクを診断する(時間軸の診断)ことが重要であるが、この「時間軸の診断」の第一歩は病変を正確に記述することである。そのような認識から、このシンポジウムでは国際的なう蝕探知評価の仕組みであるICDASとX線写真の記録方法を臨床に導入することを検討した。次の5人が、それぞれの立場から、初期う蝕の新たな評価基準の意義について述べ、フロアの参加者とともに議論を展開した。豊島義博(第一生命日比谷診療所歯科)は、(1)エンデミック(endemic)、(2)5秒間のエアーブロー、(3)地域リスク診断、(4)疾病定義の4つのキーワードによって、わが国におけるICDAS導入の意義を語った。飯島洋一(長崎大学准教授)は、う窩を形成していない初期う蝕をどのように管理するか、再石灰化の原理とその臨床応用について述べた。杉山は、モデレーターとしてICDASの診査コードを臨床例に即して紹介する一方、個人診療所における定期管理にICDASを用いる意義を、長い時間経過の観察例を提示することによって示した。桃井保子(鶴見大学歯学部教授)は、日本保存歯科学会がこの程まとめたう蝕治療のガイドラインについて述べた。このガイドラインはMinimal Interventionを基本的な考え方とした点で評価されるが、修復治療の対象となるう蝕のみに焦点をあてた内容で、今日のう蝕概念から考えると議論を要する。最後に、柘植紳平(社団法人日本学校歯科医会副会長)は、学校歯科健康診断のCOを中心にして、学校歯科と診療室の歯科の役割の違い、および学校歯科医とかかりつけ歯科医との連携について述べた。パネラーたちは、初期う蝕の再石灰化療法について、大学の教育、学校歯科、行政の理解の遅れをどのように改善するか意見を述べた。
定期管理を実施し、全患者の臨床記録をコンピュータ管理している全国33カ所の歯科診療所が参加して、2008年1月1日から12月31日の1年間の初診患者11,588人(男性4,853人、女性6,735人)の実態を集計した。12歳児のDMFTは、調査初年の2005年以来2.35、1.68、1.74、1.55と順調に低下傾向にあるが、中高校生のDMFT増加が顕著で、とくに女性のDMFT増加が目立つ。成人の年齢階層別DMFTでは、20〜24歳で2005年以来9.82、9.49、8.96、8.52と毎年改善傾向を示している。喫煙経験者の割合の減少は、引き続き顕著で、30歳代前半男性は、現在喫煙者がこれまで40%以上あったが、一気に26.8%に減少した。日本ヘルスケア歯科研究会では、2006年から会員診療室の臨床データや臨床データを集積しその結果を公開することで医療制度、社会、臨床現場へフィードバックしている。これは、その調査の一つである。
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