本会評議員の運営する39診療所の協力を得て、通院患者を対象に「歯科診療に関するアンケート調査」を行った。この調査の目的は、個々の診療機関の診療姿勢が、サービスの受け手からどのように評価されているかを知ることにある。調査方法は、調査紙に自己記入し第三者機関に郵送する方法で、配布枚数9,024枚、回収率は56.87%だった。サンプルはわが国では特殊な定期管理型の診療所通院患者であることに注意を要するが、以下の事柄が明らかになった。
その他、支払える費用(Willing to pay?)、サービスの評価などについて、診療所間の大きな格差が認められ、興味深い事実が明らかになった。
本稿では、厚生省の1999年度歯科疾患実態調査(6,903人)、吹田市成人歯科検診(12,955人)、本会データベースソフト「ウィステリア」を用いた筆者の歯科診療所の来院患者データ(4,674人)をもとに、成人の歯周病の罹患状況、DMFTや現在歯の推移、齲蝕予防・歯周病予防・歯周治療・定期管理の効果を検討した。筆者歯科診療所の初診患者の現在歯数、年齢別のDMFTに大きな差は認められない。歯科疾患実態調査からは、50歳代から急速に歯の喪失が進むが、これはう蝕の早期発見早期治療・再治療の繰り返しによる歯の脆弱化がこの年代で一気に顕在化すること、適切な歯周治療や定期管理が供給されていない実態がうかがわれる。このことは「保健福祉動向調査」からも裏付けられる。定期管理を受けている1176人(初診時平均年齢45.6歳)のデータかたは、平均経過年数6.4年で一人平均喪失歯数は0.3本、この期間に歯の喪失のまったくない人は80.3%であった。初診時乳歯列ないし混合歯列のもの396名(初診時平均6.3歳)の平均5.9年間の定期管理によってDMFTは0.9から1.3に、カリエスフリーの者の割合は66.1%から61.9%になった。初診時年齢が低いほどDMFTの増加を抑え、カリエスフリー率を高いレベルで維持することができる。 定期管理により成人の歯の喪失が激減し、DMFTの増加が非常に少なくなることがあきらかであり、乳歯列期からの定期管理で12歳児のカリエスフリー90%以上を達成しうる可能性が示された。
日本ヘルスケア歯科研究会は、設立から3年を経過した。設立にあたって掲げた使命について、これまでの活動とその成果を再評価した。本会はたんに会員の利益のための集まりではなく、「人々が生涯にわたって快適な咀嚼と自由な会話と若さと尊厳に満ちた微笑みを維持することができるように、自らの足もとから医療のありかたを改める」ことを目的にしている。本会の設立とその活動が、わが国の歯科医療および歯科医学研究に与えた影響は大きいが、当初掲げながら十分にできなかったことがらも少なくない。3年間の歩みを振り返った。
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