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vol.4 no.1/index

vol.4 no.1/アブストラクト

ヘルスケアを目指す歯科医院のための歯科医院リスク分析 千ヶ崎乙文

ヘルスケア歯科研究会が設立されて4年が経過したものの、現時点では、名実ともにヘルスケア型診療所と言える歯科医院は、本会の会員といえども多くはありません。情報は十分にあっても、それを自院でどのように応用し、問題点を解決しながら、ヘルスケア型診療室への転換を図るか、道筋の見えない歯科医院も多いと思われます。平成14年3月のマネージメントコース(国際シンポジウム前夜祭にて開催)に際して用いた歯科医院基本アンケートにより得られた情報から、診療所の分析評価の指標としてTMR(トータルマネージメントリスク)、THR(トータルヘルスケアリスク)を考案しました。その指標を使ってマネージメントコース受講者、評議員、フォーラムDEWAメンバーを対象に歯科医院リスク分析を行いました。その結果、会員のヘルスケア達成レベルは様々であり、相当な差があることが浮き彫りになりました。マネージメントコース受講者では、TMRの平均は20.0であり、とくに、院長が治療に自信があるとアンケートで回答した医院の平均TMRが低く、院長の自信がマネージメントのキーワードであると思われました。また、評議員では、TMR平均は13.9、THR平均は43.8でした。評議員では、TMRはマネージメントコース受講者に比較してローリスクになりましたが、評議員といえども、課題を多く抱えていることが再認識されました。また、日本ヘルスケア歯科研究会の生みの親といえるフォーラムDEWAのメンバーの分析では、TMR平均12.9、THR平均40.3でした。全体としてローリスク医院が多いことは、ヘルスケア型歯科医院の到達度が高いことを示しています。一方で、データ管理に関して二極化していたのも気になります。さらに、この評価法を千ヶ崎歯科医院の経年的変化に適応してみると、自院の欠点や課題がより鮮明になりました。本来、この評価法は個人的分析に用いるために考案されました。その一方で、この評価法は、ヘルスケア型歯科医院として、一定の成功パターンを想定していることは否定できず、より客観的な評価に耐えうるリスク分析を目指して努力する必要があることがわかりました。

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ラバーダムの使用状況とその背景因子 内藤 徹/菅 義浩/野村義明/豊島義博/藤木省三/横田 誠

ラバーダムは、治療中の歯を唾液等の水分から守り、あるいは細菌の侵入を防ぐきわめて有効な方法とされている。とくに歯内治療において必須の術式とされており、また充填処置などにおいても高い有用性が示されている。しかしながら2000年4月の健康保険の診療報酬改正で、レジン充填時のラバーダム算定は不可になるなど、臨床現場でのラバーダム使用の環境は厳しくなってきている。そのひとつの理由は、実際にラバーダムを常時使用している歯科医療機関がかなり少ないと見られるためである。しかし使用実態に関しては、適切な対象・回収率を備えた調査がなく、その実態は明らかではない。そこで日本ヘルスケア歯科研究会の会員を対象として、使用実態、使用/不使用の理由などについて調査した。調査は質問紙法による郵送調査で、会員の歯科医療従事者および研究者1124名に郵送(2001年3月18日送付、同5月18日を回収期限とした)した。回答者は448名で、回収率は39.9%であった。

この結果「ラバーダムをしている」と回答した者は51.1%で、そのうち「ほとんど毎日」と回答した者は22.5%、「週に数回」13.8%、「月に数回」6.2%という内訳であった。使用診療行為は「歯内治療」時が最も多く66.1%、次いで「小児治療時の誤飲防止」であった。使用/非使用の間には、性別、年齢、臨床経験年数、1日の患者数、患者一人あたりのチェアタイムの偏りは認められなかった。大学での臨床教育にも差はなかった。ラバーダムの実施と保険外診療の割合には若干の関係が見られた。「ラバーダムをしていない」理由は、「面倒だから」が最も多く(34.3%)、次いで「患者さんが嫌がるから」(18.8%)であった。ラバーダムを行ったときに得られる効果に対する期待は、「ラバーダムをしている」ものと「ラバーダムをしていない」ものとの間に大きな違いが認められた。「ラバーダムをしている」ものの67.2%がラバーダムにより「歯内治療の成績が良くなると思う」のに対して、「していない」ものでは40.7%のもののみが「成績が良くなると思う」と答えたにとどまり、両者の差は統計的に有意であった。

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う窩形成前カリエスコントロールのためのクリティカル・パス 熊谷 崇

疾患の発症プロセスに介入し、発症前に疾患をコントロールすることによって健康な歯列を育成する、そのような患者利益を合理的に達成するための道筋(critical path)を探る。カリエスリスクには個人差、部位による特異性(site specificity)がある。トータルリスク(カリエスリスク・インデックスの単純な加算値)によって個人個人のリスクの違いを理解し、部位によるリスクの違いを考慮して各歯、各歯面の診査診断を行う。さらにリスクコントロールをより合理的なものとするため、カリエスリスクの各々の因子が相互にどのように関連しているか、統計学的な解析をすることにした。

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市販歯磨剤についての実態調査 杉山精一

歯科診療所を受診する患者に、その人の使っている歯磨き剤について尋ねると、フッ化物含有のものかどうか知らない人が多い。そこで市販されている歯磨き剤のパッケージを調べてみると、フッ化物含有の有無が分かりにくいものが少なくなかった。試みに周辺のドラッグストアなど7店舗ですべての歯磨き剤を購入してパッケージを調査した。購入した91種類のうち一般に流通していると思われるものは77種類で、そのうち成分表示にフッ化物が記載されているものは45種類(52%)であった。フッ化物配合歯磨き剤のうち成分表示欄以外にも、表示があったものは27種だった。またグラム単価で比較すると高額の商品にフッ化物を含有しないものが多かった。商品パッケージと成分表示欄の画像を資料として掲載する。

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